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最高裁判所大法廷 昭和24年(新れ)301号 判決

主文

本件上告を棄却する。

被告人に対し当審における未決勾留日数中百二十日を本刑に算入する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人森長英三郎上告趣意第一点について。

記録を精査すると、原審は所論控訴趣意の事実誤認の主張に対しこれを採証の法則違背の主張と誤解したと認められるような嫌いはないではないが、所論の点は結局訴訟手続違背の主張に帰着し、明らかに刑訴四〇五条の事由に該当しないし、また同四一一条の原判決を破棄しなければ著しく正義に反する事由ありとも認められないから、論旨は理由がない。

同第二点について。

共犯共同被告人間に量刑上に差異があっても、憲法一四条違反でないことは、既に当裁判所の判例とするところである(昭和二三年(れ)第四三五号同年一〇月六日大法廷判決判例集二巻一一号一二七頁)。論旨は理由がない。

同第三点について。

所論の憲法三七条及び憲法前文は陪審による裁判を保障するものではない。その他民主主義国家であるからといって、必らずしも陪審制度を採用しなければならぬという理由はない。

よって刑訴四〇八条刑法二一条刑訴一八一条一項にしたがい、裁判官全員一致の意見をもって、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 塚崎直義 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 井上登 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介)

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